有名な任意売却
「インフレーション・ターゲティングを導入しているニュージーランド、カナダ、英国、スウェーデンの中銀は、その導入当初、インフレ期待の安定を重視する観点から、足許の物価安定に向けて厳格な運営を試みていたが、その後徐々に、中期的な物価と実体経済(生産や雇用など引用者注)の安定をめざす運営に変貌していった。
すなわち各国の中銀は、実体経済の安定にも配慮して、たとえ足許の物価が目標から乗離するようなことはあっても、それを無理に安定化するのではなく、時間をかけて緩やかに安定化することをめざした運営を行うようになっている。
このような政策運営方法とインフレーション・ターゲティングを採用していない主要国の政策運営方法は収数してきているとの評価もされている」
(N銀行『N銀行レビュー』2008年10月、N銀行ホームページ)
しかし、インフレーション・ターゲティング採用国の金融政策運営方法とインフレーシヨン・ターゲティングを採用していない日本の金融政策運営方法は収敷するどころか、全く反対方向を向いた金融政策である。
第1に、N銀行は「物価の安定」を目的とするといいながら、インフレ目標採用国のように、目標とする物価の安定を数値で示していない。
そのため、N銀行の金融政策が目的を達成したのかどうかを判断し、その政策を評価して、説明責任を求めようにも、評価の基準がない。
例えば、N銀行を「2006年3月初めに量的緩和を解除したとたん3月と4月の総合消費者物価の前年同月比はマイナスになっただけでなく、2007年終わりまでの13カ月間のうちの3割に相当する7ヵ月間もマイナスになった。
この期間の平均をとっても0・17パーセントでしかない。
これでは、到底、N銀行は物価の安定という使命を果たしたとはいえないのではないか」と批判してみたところで、N銀行に「別に、インフレ率がマイナス0・1パーセント程度に下がったところで、物価が不安定になったとは考えません」といわれれば、それまでである。
さらに、疑問や批判を述べたところで、永遠にN銀行と論争し続けるのが落ちである。
第2に、インフレ目標政策採用国の中央銀行には、短期的な裁量性はあっても、その裁量性はあくまでも中期的(1年半程度)に目標インフレ率を達成するための手段としてのあり方が問われている。
会社でも官庁などの政府機関でも大学でも、現代は外部からのガバナンス(統治)の第3者機関から監視・評価されることなく、金融政策の達成目標をその目標達成手段を自分で決めている。
これでは、N銀行が量性であって、中期を超える期間の裁量性はない。
イングランド銀行は短期的にもインフレ率が目標よりも上下に1パーセント以上乗離すれば、直ちに説明責任を求められる。
それに対して、N銀行は永遠の期間の、しかも、永遠に責任を取る必要のない裁量性を持っている「権力者」である。
N銀行が「N銀行の金融政策運営方法もインフレ目標政策採用国の中銀のそれも同じようなものである」と本気で主張するならば、むしろ、N銀行がインフレ目標の採用を拒否する理由はないはずである。
N銀行はインフレ目標を採用すると、N銀行に裁量性がなくなるため、採用するとかえって物価の安定は達成されないと主張してきたはずである。
それが裁量性に関して変わらないと考えを変えたのであるから、インフレ目標の採用に支障はないはずである。
国民のためになすべき仕事をしているのかどうか全く分からない。
N銀行の外部から常時、専門的にN銀行の仕事を監視し、評価し、改善を求めたり、責任を取ることを求めたりする統治機構は存在しない。
N銀行から独立してN銀行を統治する機関がなければ、N銀行がインフレ目標政策採用国の中央銀行のまねをして、政策決定会合の議事録や年報を公開したり、総裁の記者会見や国会での報告などを行ったりしたところで、金融政策の真の「透明性」も「説明責任」も確保することはできない。
インフレ目標政策採用国と同じことを全部やっています、という隠れ蓑に使われるだけである。
例えば、定例のN銀行総裁記者会見でも、総裁は記者の質問に対する答えをはぐらかして、その場をしのぐことができる(例えばH総裁と記者のやり取りを参照)。
国会での総裁と議員の質疑応答も同じである。
この状況を改善するためには、ニュージーランドやイギリスにならって、N銀行の金融政策を常時、専門的に監視・評価し、改善や責任を求める外部の政策監視・評価委員会を設けることである。
この政策監視・評価委員会のメンバーは、N銀行外部の、経済・金融に関して高い識見や経験を持つ人から、政府が指名する。
政府はこの委員会の意見を聞いて、N銀行総裁・副総裁および審議委員の人選を決定する。
政府がインフレ目標を設定せよしかし、N銀行の金融政策を監視・評価し、改善と責任を求める第3者委員会を作っても、N銀行の政策目的が具体的に示されない限り、この委員会の監視・評価も有効に機能しる。
また、N銀行総裁・副総裁および審議委員を再選する場合には、この委員会に再選対象になっている委員の業績評価を求める。
経済・金融を研究しているN銀行の金融研究所はN銀行から分離独立させ、政策監視・評価委員会の下に置くように、N銀行の組織を再編成する。
N銀行の目的が明確に定義されていない現状では、N銀行の金融政策の成果を批判する方も、手足を縛られているようなもので、迫力がない。
政策監視・評価委員会が、N銀行の金融政策の成果を批判的に評価し、厳しく説明責任を求めたところで、最後は「見解の相違」で逃げられてしまう。
その結果、現在そうであるように、国民も国民の生活を大きく左右しているN銀行の金融政策に無関心になってしまう。
この閉塞した状況を打破するには、N銀行に逃れようのない達成目標を課すべきである。
N銀行に課す目標設定として最適なものは、中央銀行の世界的な歴史・経験からみて、N銀行に2パーセントから3パーセントのインフレ目標を中期的に達成することを義務付けるとともに、N銀行外部の経済・金融の専門家から構成される政策監視・評価委員会を設置して、N銀行の目標達成の度合いを評価させ、その達成度合いが低ければ、N銀行に説明責任と改善を求め、今後の達成見通しを表明させるようにすれば、N銀行行員の人事もN銀行総裁をはじめとする政策委員会のメンバーの選出方法も大きく変わるであろう。
第一に、N銀行の人事と意思決定を支配する東大法学部卒優位の構造が崩れるであろう。
経済・金融に弱い人では、N銀行に課せられたインフレ目標を達成することは難しいからでパーセントから3パーセント程度の範囲のインフレ率であろう。
政府はこのインフレ率の中期的達成をN銀行に義務付けるべきである。
すなわち、これまで通り、N銀行に「政策手段選択の独立性」は認めるが、「目標設定の独立性」は認めず、それは政府が握るべきである。
幹部候補生としてN銀行に入行する人には、これまでのように、入行してから経済学部の中・上級程度の経済理論研修を受けるといったことが不要になる程度の学歴が求められるようになるであろう。
第2に、経済・金融の調査を担当する調査統計局が企画局と同等の地位に上昇し、金融経済に関する見通しや金融政策運営に関する企画・立案は企画局と調査統計局の緊密なコミュニケーションに基づいて作成されるようになるであろう。
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